
ベッド上で排便を行うにはオムツが必要と思っている方、多いと思います。



でも、ほかにもベッド上で排便を行うための介護用品があるんです。
ベッド上で行うオムツ以外の排便方法はあまり知られていません。
その方法は「差込便器」を使うことです。
そこでこの記事では、差込便器について少し詳しく解説したいと思います。
目次
差込便器ってなに?
差込便器とは、お尻の下に差し込んで使用する便器で、寝ながら排泄できるように使える便器です。
形はちりとりのような形をしています。
引用元:アロン化成株式会社
(差し込み便器(専用カバー付))
寝たきりの方や排泄機能に問題は無いがベッド上で安静にする必要がある方など、ベッドから動けない方に対して使用されます。
どんな方が使用する?
差込便器を使用される方は、
- 尿意や便意を感じることができても、安定して座れなかったりベッドから離れることが難しい方
- オムツへの排泄にはどうしても抵抗のある方
などが挙げられます。
差込便器を使うメリット・デメリット
メリット
- 排泄物が直接肌に触れないので、不快感、肌トラブル、感染リスクを軽減させることができる。
- 便器を差し込む際に腰を上げる等の動きが必要なので、廃用性(安静や運動不足が続くことで身体機能が低下すること)のリスクを軽減することができる。
- 毎回オムツを使うとコストがかかるが、差込便器は一回購入すればその後のコストは掛からないので経済的負担を軽減できる。
- オムツの習慣化による「尿意を感じたからトイレへ行く」などの判断力や、「自力で排泄する」などの運動機能の低下を防げる。
デメリット
- オムツと比べると、排泄後の処理(排泄物をトイレに流し、差込便器を洗う)に時間を要する
差込便器を差し込む前にやること
差込便器は便器を腰の下に差し込んで使用しますが、差し込む前に行うことがあります。
それが以下の3点
- 腰回りに防水シートを敷く
- この理由は皆さん分かると思いますが、排泄物が万が一便器の外に漏れてしまった場合に寝具を汚さない為、また利用者がその心配をせず安心して排泄できるようにする為です。
- 便器の中にトイレットペーパーを入れておく。
- 後始末を行いやすくしたり排尿時の音の軽減や尿の飛び跳ねを防ぐという意味があります。
- 便器を前もって温めておく。(可能であれば)
- これは可能であれば行ってもらえたらですが、冷たいものが腰やお尻にあたると尿意や便意が無くなってしまう可能性があるそうなので、スムーズな排泄を行えるようにする為という意味があります。
差込便器の使用方法
差込便器を使用する時は基本的に仰向けで行います。
- 仰向けで膝を曲げた姿勢をとる。
- 腰を上げてもらい、便器を腰の下(臀部の中央)に差し込む。 排便時には尿意も出てくるかと思うので、男性の場合は尿器を併用する。女性の場合は尿器を併用しにくいと思うので、尿が飛び散らないようにトイレットペーパーを股の間に挟んでください。
- 排泄後は肛門や陰部をお尻拭きで拭いたり洗浄ボトルなどを使って洗い清潔に保つ。お尻を拭く際は必ず前から後ろへ向かって拭いて尿路感染を予防します。
②の段階で腰を上げてもらうことが難しい場合は、一度体を横向けの状態にして、便器を臀部の中央に当てながら仰向けに戻す。
差込便器使用時のポイント
- トイレットペーパーを股に挟む際、トイレットペーパーは濡れると切れやすくなるので、厚めに折りたたんで陰部に当てると良いです。
- 電動ベッドを利用している方は、背上げ機能を活用して上半身を起こすことで重力を利用でき、腹圧もかけやすくなるので排便しやすくなります。
- 電動ベッドを利用している方は、介護者が排泄介助を行いやすい高さまでベッド全体の高さを上げることで、介護者の体への負担を軽減できます。
座った状態でも使用可能。でも…
座った状態で使用することも可能で、その際の使用方法が書いてある情報も見かけますが、座った状態になれるのであればポータブルトイレの方が安定して座れるし、上半身を前に倒しやすく腹圧もかけやすくて良いと思います。
まとめ
介護業界で長く仕事をしていますが、差込便器を使用されている方は正直多くありません。
しかし、差込便器はオムツにはないメリットもあるので、ベッド上での排泄方法のひとつとして頭に入れておいてもいいと思います。
利用者の気持ちおよび身体能力と介護者の負担具合など、総合的に判断して差し込み便器を使用するかオムツを使用するか考えてみてください。
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