
夜中にトイレに行くことが多いが、起きてすぐは体の動きが悪くてトイレに行くまでに転倒してしまう危険性がある



ケガによって自宅のトイレまで行くことが困難になってしまった
介護の現場では上記のような理由でポータブルトイレが必要になることがあります。
今回はポータブルトイレを選ぶ際のポイントについて少し詳しく解説したいと思います。
介護認定を受けていればポータブルトイレは安く購入できる
介護認定を受けられている方はポータブルトイレの購入に介護保険が適用されますが、都道府県から指定を受けている福祉用具販売店からの購入でないと介護保険は適用されません。



「ホームセンターで購入してしまって、介護保険を使って購入ができなかった」という方が時々いらっしゃいます。
担当のケアマネージャーに相談すると指定の福祉用具販売店を紹介してくれますので、まずは相談してください。
介護保険が適用になるので、利用者の負担額は販売価格の1割~3割(利用者の収入によって負担割合は違う)で済み、安く購入することができます。
ケアマネージャーや福祉用具販売店に相談すると、ポータブルトイレの種類や機能などを説明してくれるとは思いますが、今回はポータブルトイレについて少し詳しく解説したいと思います。
ポータブルトイレを選ぶ際のポイント
福祉用具販売店の方に、使用者の状態や使用場所などを伝えれば、条件に合うポータブルトイレを選んでくれると思いますが、伝える情報が不足していると本当に家族が必要とする機能が付いているポータブルトイレを必ず選んでくれるとは限りません。
ポータブルトイレの種類や機能は下記のようなものがあるのでぜひ参考にしてみてください。
①本体は樹脂製または木製
まず、ポータブルトイレを選ぶ際に最初に決めるのがポータブルトイレの本体が樹脂製(プラスチック)か木製かというところです。それぞれのメリットとデメリットは下記のようになります。
樹脂製タイプ
メリット | デメリット |
---|---|
木製と比べると軽量なので持ち運びがしやすい 木製と比べると価格が安い お手入れがしやすい(本体を外に持って行ってジャバっと水をかけても乾きやすい) | 軽量なので、安定感を求める方には少し不安に感じる ひと目でポータブルトイレとわかるので、来客がある時などは人目が気になる |
木製タイプ
メリット | デメリット |
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重量があり安定感がある 蓋を閉めると椅子として使用でき、見た目もポータブルトイレとわかりにくい。部屋に置いても違和感が少ない | 重量があるので移動が大変(キャスターが付いているものは楽に動かせます) 樹脂製と比べるとお手入れがしにくい 樹脂製と比べると価格が高い |
②肘掛けのタイプ
肘掛けのタイプには下記の種類があります。
肘掛けを選ぶ時は、利用者の現在の身体状況や先々の状態変化も考慮して選ぶとよいでしょう。
固定タイプ
肘掛けが動かないタイプです。ただし、ネジを外すなどして肘掛けを完全に取り外すことはできます。
跳ね上げタイプ
肘掛けを跳ね上げることができるタイプです。ポータブルトイレに移る際にお尻をしっかり上げてポータブルトイレに移ることが難しい方は、肘掛けを跳ね上げることでお尻を横へスライドさせるような形で移ることができます。
出典:アロン化成株式会社(家具調トイレセレクトRはねあげ)
昇降タイプ
肘掛けが上下に昇降して肘掛けをポータブルトイレ本体の中に収納するような形になるタイプです。このタイプも跳ね上げと同じように乗り移りを楽にさせることができます。
出典:アロン化成株式会社(ポータブルトイレ FX-30 ”らくゾウくん”)
③便座の種類
便座にも種類があります。
標準便座
よくあるプラスチックの便座です。座った時にひんやりしますが、基本的には便座カバーが1枚付属されています。
ソフト便座
お尻に触れる部分が柔らかい素材でできている便座です。座っているとお尻が痛くなってくる方におススメ。また、標準便座よりも座った時のひんやり感は少ないです。
暖房便座
その名の通り、暖房機能がついている便座です。知らない方も多いですが、ポータブルトイレにも暖房便座があるんです。
④脱臭機能
ポータブルトイレを使用するとどうしても気なるのがニオイです。
そんなニオイを軽減させる為に、脱臭機能が付いているタイプもあります。
ただし、脱臭機能が働くのは便座に座っている間と便座を離れてから数分~1時間程度になっています。
それでも脱臭機能付きを購入された家族からは実際に「ニオイはだいぶ少ないと思う」という声も聞いています。
ポータブルトイレのニオイ対策については、下記の記事もぜひ参考にしてみてください。


⑤キャスターが付いているか
これはポータブルトイレの移動を楽にする為のキャスターが付いているかどうかということです。
ポータブルトイレは軽量の樹脂製であっても、肘掛けが付いていない簡単なタイプ以外は約10kg程度はあります。
特にポータブルトイレを日によってまたは時間帯によって動かすことがあるようなら、キャスター付きを選ぶことをおススメします。
出典:アロン化成株式会社(家具調スマートトイレ NEO(ネオ) はねあげ)
⑥ペーパーホルダーのタイプ
ペーパーホルダーとはトイレットペーパーをセットできるようにする為の部品です。
棒のような部品にトイレットペーパーの芯を通す簡単なタイプや片手でもトイレットペーパーを切りやすいように工夫されたタイプなどがあります。
特にここからは福祉用具販売店の方でもあまり説明をされない部分になるかと思いますが、個人的にはポータブルトイレを設置できるスペースが狭ければ狭いほど気にする部分かと思っています。
ペーパーホルダーは肘掛け部分に取り付けることが多いのですが、写真のようにペーパーホルダーの位置・向きを変えられるタイプと変えられないタイプがあります。




カタログに記載されているポータブルトイレのサイズは本体サイズのみです。
ペーパーホルダーを取り付けた際のサイズは記載されていないので、本体サイズだけを確認してスペースぴったりに設置できると思っていても、ペーパーホルダーを取り付けると設置できないということがあります。
ポータブルトイレを設置するスペースが十分広ければ問題ないですが、今までの経験上、狭い部屋で使われるケースも多々あります。
⑦特殊なタイプ(自動ラップ式トイレ)
自動ラップ式トイレとは、「水を使わず、臭いも漏らさず、排泄物を密閉する」ポータブルトイレです。
ポータブルトイレ本体の中には普通はバケツが入っていますが、自動ラップ式トイレの本体の中にはバケツの代わりに長い筒状の袋のようなもの(フィルムカセット)が入っています。
まず、排泄前に尿を固める専用の凝固剤を袋に入れてから使用します。(捨てる時に袋ごと燃えるゴミとして処理できるようにする為です)
排泄後に、リモコンのボタンを押すと筒状の袋を熱圧着して排泄物を閉じ込めてくれます。閉じ込めた袋は完全に密閉されていてそのまま燃えるゴミとして処理することができるので、他のポータブルトイレと比べて後処理が格段に楽になっています。
また、排泄のたびに排泄物を密閉することで嫌なニオイも大幅に減らすことができます。
出典:アロン化成株式会社(家具調トイレセレクトR 自動ラップ)
メリット・デメリットとしては下記のようなことが挙げられます。
メリット | デメリット |
---|---|
排泄後の後処理が非常に楽 ニオイが残りにくい | ランニングコストがかかる(フィルムカセット代と専用凝固剤代) 高額の商品なので、介護保険の年間10万円の補助枠をオーバーすることがある |
後処理の負担をとにかく減らしたい方やニオイをすごく気にされる方には特に有効なポータブルトイレになります。
まとめ
現在販売されているポータブルトイレのほとんどは肘掛けが付いていて、座面の高さを調整することができるようになっているので、基本的にはどれも立ち座りを行いやすいものになっています。
あとは、楽に排泄できるようにする為および家族が介護しやすくする為に、上記のような点を気にしていただけたらと思います。
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