【どれを選んだらいいの?】介護用スプーンの種類や特徴

ふくし
福祉用具専門相談員
福祉用具専門相談員15年目のふくしです。
役に立つ介護用品や便利な機能が色々あるのに、介護の現場では知らない人が多いと実感。少しでも介護者の負担やストレスを減らせるよう効果的な機能の活用方法や色々な介護用品を紹介していきたいと思っています。
堤さん    (利用者)

手首の関節可動域が狭くて、食べ物をうまく口まで運べない。

高橋さん    (介護者)

スプーンが握りにくいみたいでうまく使えなくなってきた。 

このような悩みをお持ちの方には介護用スプーンをオススメします。 

握力の低下や手指の拘縮などでスプーンが握りにくかったり、関節の可動域に制限がありスプーンを口までうまく運べなかったりする方には介護用スプーンが有効になってきます。 

そこで、この記事では介護用スプーンについて解説したいと思います。 

目次

介護用スプーンは、高齢者や障害を持っている人など、食事が困難な方が自分でまたは介助を受けて食べやすくするための特殊なスプーンです。食事を食べる本人だけでなく介助者の負担軽減にもつながります。 

介護用スプーンには、様々な種類があるので次項でご紹介します。 

介護用スプーンの主な役割は以下のようになります。 

「自己摂取の支援」 

握力低下や手指等の関節可動域に制限がある方にとって、介護用スプーンは食事を自分で行うという自立支援につながります。食事の介助を家族にさせて申し訳ないという気持ちも軽減でき、心の健康にもプラスの影響を与えます。 

「自尊心の向上」 

介護用スプーンを使って食事を自己摂取できるようになると、「自分のペースで、自分の好きな順番で、自分の好きな量を食べることができる」ので、QOL(生活の質)を高めることにつながり、自尊心・自己肯定感を高めることができます。 

「誤嚥・窒息の防止」 

嚥下障害がある方は普通のスプーンだと一口量が多すぎたり、口への入れ方が不適切になったりして、むせや窒息を引き起こすリスクが高いです。 

そういう方は介護用スプーンを使用することで、誤嚥や窒息のリスクを軽減させることができます。 

「食事介助の負担軽減」 

介護用スプーンを使って利用者が食事を自分で行うことができれば介助者の介護負担軽減につながります。 

食事介助は、食べものを口に運ぶタイミングや一口の量など、細かい配慮とコミュニケーションが必要で時間も掛かるし、意外と介助負担は大きいです。 

介護用スプーンで自己摂取できるようになれば、家族(介護者)は他のことに時間を使えるようになります。 

安全な食事を行えるようにするとともに簡単に楽に食べられるようにし、苦になっていた食事を楽しく食べられるようにする 

ふくし

利用者・介助者の双方が食事に対するストレスを軽減でき、楽しい食事に変えることができる可能性があるということですね。 

介護用スプーンには様々な種類があり、色々な状況やニーズに対応しています。それでは介護用スプーンの種類や特徴および選び方について解説していきます。 

シリコンスプーン 

シリコンスプーンは、柔らかく滑らかなシリコン素材で作られていて、口当たりが柔らかいスプーンです。 

シリコンスプーンが有効な方 

シリコンスプーンが有効な方は、以下のような方になります。 

  • 認知症や知的障害などの影響や、てんかんなどで突発的に過度な緊張が出てしまう方など、スプーンを強くかんでしまう方 
  • 口の中に傷があったり、金属のスプーンが口の中に当たると痛がるような口の中が敏感な方 

このような方は、金属のスプーンだと歯が欠けたり口の中を傷つけてしまうというトラブルになる可能性があるので、柔らかいシリコンスプーンを使ってこれらのトラブルを回避しましょう。 

シリコンスプーンの選び方 

シリコンスプーンを選ぶ際は、まず利用者の口の大きさや食べ物の種類(何をすくうのが目的か)に合わせたサイズや形状のものを選ぶことが重要です。介護者が使いやすそうなものを選ぶのも大事です。 

また、利用者自身が使う場合は、持ち手の長さや太さなど持ちやすいかどうかもチェックしましょう。  

持ちやすいスプーン 

持ちやすいスプーンは、スプーンの持ち手の部分が太くなっていたり、持ち手を手の形に合わせて曲げることができる握りやすいスプーンです。

持ちやすいスプーンが有効な方 

持ちやすいスプーンが有効な方は、以下のような方になります。 

  • 握力が弱い方 
  • リウマチ、関節炎などで手の指の筋力が弱い方 
  • 拘縮等で手指が深く曲げられない方 拘縮等で手指が深く曲げられない方 

このような方は、普通のスプーンではうまく持てなかったり、落としてしまったりすることがあるので、手の状態に合う持ちやすいスプーンを使用して食事を行いやすくしましょう。 

持ちやすいスプーンの選び方

持ちやすいスプーンを選ぶ際は、握力・筋力が弱いのか、手指が曲げづらいのかによって、適するスプーンが違ってくるので、そこをしっかりと把握して選びましょう。 

握力・筋力が弱く細い柄だと力が入りにくい方は、柄が太いスプーンや柄が少し太めで波型になっていて滑りにくいスプーンなどが合いやすいです。 

拘縮や麻痺があり手指が曲げづらい方や太い柄のスプーンでも安定して持てない方は、柄が太いスプーンや手にベルトを巻いて固定するタイプのスプーンなどが合いやすいです。 

曲げられるスプーン 

曲げられるスプーンは、スプーンの首や柄の部分を自由に曲げることができるスプーンです。 

曲げられるスプーンが有効な方

曲げられるスプーンが有効な方は、以下のような方になります。 

  • リウマチなどで指や手首の関節が変形している方、手首をひねる動作が難しい方、肘を曲げにくい方 
  • 麻痺などで手や腕、首などの動きに制限がある方 

このような方は、普通のスプーンでは口までうまく運べない、食べ物がスプーンから落ちてしまいやすい、といったことが起こるので、曲げられるスプーンを使って食事を行いやすくしましょう。 

曲げられるスプーンの選び方 

曲げられるスプーンを選ぶ際は、以下のようなことに注意して選ぶことが大事です。 

どの部分がどの程度曲げられるのか? 

曲げられる部分はスプーンの首の部分だけでなく、柄の部分も曲げられるスプーンがあるので、どこまで曲げる必要があるかを考えて選ぶようにしましょう。 

柄は持ちやすい太さや形状になっているか? 

柄の部分の太さはさまざまあります。また、指が安定するくぼみが付いているものや指が滑りにくい構造になっているものがあるので、利用者に合う持ちやすい柄になっているかにも注目しましょう。 

スプーンのサイズは口に合うサイズか? 

曲げられる部分がどこか、柄は持ちやすいか、に気を取られてスプーンのサイズを確認し忘れることがないようにしましょう。口に入れやすいサイズのスプーンを選ぶのも重要です。 

フォークスプーン 

フォークスプーンは、名前の通りフォークとスプーンの機能を合わせもつスプーンです。 

スプーンの「すくう」機能とフォークの「刺す、絡める」機能がひとつになっているので、これひとつで複数の動作を行えます。 

ふくし

コンビニ弁当を買った時などに付いてくる時がありますが、それと同じものですね。 

フォークスプーンが有効な方

フォークスプーンが有効な方は、以下のような方になります。 

  • スプーンとフォークの持ち替えを省きたい方
  • スプーンとフォークを使うようなメニューだけど、できるだけ洗い物を減らしたい方

持ち替えの手間が減ることに加え、洗い物も減らすことができるのが特徴です。 

フォークスプーンの選び方

フォークスプーンを選ぶ際は、スプーンとフォークの割合に注目しましょう。

スプーンに切れ込みを入れてフォーク部分を作っているものが多いので、フォーク部分(切れ込み)がどのくらいの長さかによって、スプーンですくえる量が違ってきます。

スープをすくって飲むなら、フォーク部分(切れ込み)が短めのものを選んだ方がよりたくさんスープをすくえます。

また、麺類を食べるなら、フォーク部分(切れ込み)が長めのものを選んだ方が麺を持ち上げやすくなります。

介護用スプーンには以上のような種類があり、利用者の状態に合わせて最適なスプーンを選ぶことが安全安楽な食事を行うことに繋がっていきます。 

万能カフとは、マジックテープで手のひらに装着して、カフに付いているポケットにお持ちのスプーンなどを差し込んで使う自助具で、握力が弱い方や手指が曲がりにくい方に特に有効です。 

スプーンの他にもペンや歯ブラシなども差し込めるので、食事以外でも活躍します。 

特徴
  • 手の平に当たる部分は、平らな革タイプと丸い握りの木柄タイプがある。 
  • ベルトの端は返し縫い加工なので、握ったときに手が痛くならない。 

スプーンなどを入れる部分は貫通式とポケット式の違いがあり、それぞれのメリット・デメリットはこちら⤵ 

貫通式 

メリットデメリット
スプーンを入れる部分が貫通しているので、スプーンを差し込む具合を自由に調整しやすい。 スプーンを入れる部分が貫通しているので、スプーンがずれやすい可能性がある。 

ポケット式 

メリットデメリット
スプーンを入れる部分がポケットになっているので、スプーンがずれにくい。 スプーンを入れる部分がポケットになっているので、スプーンを差し込む具合が調整できない(しにくい)。 
ふくし

万能カフを購入する時は、貫通式・ポケット式のそれぞれの特徴を考えて購入してください。 

スプーンと箸が一つになった「スプーン箸2」

斉藤工業の「スプーン箸2」は、閉じたらスプーン、開いたら箸として使えるもので、この1膳で「刺す、すくう、のせる、切る、つまむ、引っかける」の6役をこなせます。

また、食洗器・乾燥機にも対応していたり、専用ケースが付いているので外食の際にも持っていきやすいです。

上記で紹介してきたような種類すべてがあるわけではありませんが、介護用スプーンはダイソーやセリアなどの100円ショップでも購入することができます。 

ただし、品揃えや在庫は店舗によって異なるので、すべての100円ショップで購入できるとは限らないのでご注意を。 

材質や耐久性などは介護用品専門店で購入するものと比較すると劣る可能性はあります。 

価格の点では、ほぼ間違いなく100円ショップの方が安価だと思うので、予算が限られている方や一度試してみたいという方にはいいかもしれません。 

介護用スプーンは、食事が摂取しにくくなってきた方の食事の質を上げる・楽しくさせる重要な道具です。 

利用者の体の状態に合わせて適切な介護用スプーンを選ぶことが大切ですので、この記事を参考にしてもらえたらと思いますが、わからなければ福祉用具販売事業所やケアマネージャーなどに聞いてみてください。 

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