堤さん (利用者)浴槽内で立ち上がろうとする時に、足が滑って立ち上がりにくい。



浴槽縁を跨ぐ際に手や足が滑らないか心配。
高齢になり足腰が弱ってくると、こんなお悩みをお持ちの方は多くいらっしゃいますし、浴室での転倒を心配する家族も多いでしょう。
この悩みを解決できるよう、今回の記事では「浴室での転倒・ケガを防ぐために有効な滑り止め商品」をご紹介したいと思います。
この記事で紹介する商品を使えば、転倒リスクを減らすことができ安心感を持って入浴できるようになると思います。



この記事は以下のような方にオススメ!
・浴槽内での立ち上がりがしにくい方
・浴槽縁を跨ぐ際に、手や足が滑りそうで心配な方
・洗い場で滑らないか心配な方
介護現場で多くの入浴用滑り止め商品を販売してきた私が、浴室での転倒を防ぐための滑り止め商品や転倒リスク軽減につながる方法を解説します。
浴室で役立つ滑り止め商品とは
まず、浴室で役立つ滑り止め商品を場所ごとに簡単に解説すると、
浴槽内 : 滑り止めマット
浴槽縁 : 滑り止めテープ
洗い場 : 洗い場用の滑り止めマット
になります。それぞれの場所にあった滑り止め商品を選ぶことが、転倒リスクの軽減には大切です。
それでは、次項から場所ごとに役立つ滑り止め商品や転倒リスクを減らす方法をご紹介していきます。
浴室で有効な滑り止め商品および転倒リスク軽減方法
浴槽内
浴槽内での滑りに関する悩みは、浴室の中でも一番よく依頼を受ける悩みです。
浴槽内で滑る時というのは、
- 浴槽内に足を着けた時
- 湯船に浸かろうとしてしゃがんだ時
- 湯船に浸かっていて「そろそろ出ようかな」と立ち上がろうとする時
- 浴槽から出る時
の4場面になると思います。
これらの悩みを解決する為に、有効な滑り止め商品は「滑り止めマット」です。
滑り止めマットは、「置くタイプ」「吸盤タイプ」の2種類がありますが、最近の主流は置くタイプかなと思います。
「置くタイプ」「吸盤タイプ」のメリット・デメリットを挙げると以下の通り。
置くタイプ
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 設置は置くだけなので簡単 お湯をはった後でも設置可能 置いているだけなので外す時も楽 | 吸盤タイプと比べると重い |
吸盤タイプ
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 吸盤でしっかり固定できるので安心感が強い 軽量で扱いやすい | 設置する時はマットを置いた後に、上から体重をかけて吸盤を引っ付けなければならない お湯をはった後に設置することもできるが設置しにくい(そもそも湯はり後の設置は推奨されていない) |



それぞれの特徴を考慮して、「置くタイプ」か「吸盤タイプ」を選ぶようにしてください。
また、「使用できない浴室環境」が商品によってそれぞれあるので、使いたいと思った商品は使用できない浴室環境をしっかりチェックして、確実に滑り止め効果をえられるようにしましょう。
それでは、人気の滑り止めマットを3つご紹介します。
【アロン化成】おく楽すべり止めマットKP
アロン化成のおく楽すべり止めマットは、2度モデルチェンジされていてこの「KP」がシリーズ3作目。改良を重ねてどんどん良いものになっているように思います。
滑り止め効果が高く、様々な浴槽にもフィットするように考えられているのでオススメです。



私が一番販売している滑り止めマットは、この「おく楽すべり止めマットシリーズ」ですね。
特徴は以下の通り。
- 小・中・大の3種類のサイズがある
- 裏面は辺の多いこんぺいとう模様なので多方面へのグリップ力が高い
- 置くタイプなので設置は置くだけ・沈めるだけ(お湯をはった後でも設置可能)
- マットの左右でカーブの大きさが違うので、敷く向きを変えることで多くの浴槽にぴったりフィットする
- 外周はスロープ形状になっているので、すり足の方でも引っ掛かりにくい
- ハサミでカットすることができるので、後々、浴槽台と併用することになっても大丈夫
使用できない浴室環境
・木製の浴槽、天然大理石の浴槽、ホーロー製の浴槽、泡の出る浴槽、自動洗浄機能付浴槽、お湯が循環している浴槽(24時間風呂)
・小石敷きの洗い場、すのこやバスマットが敷かれている洗い場、タイル敷きの浴槽及び洗い場、大浴場、温泉
マットのすべり止め効果が十分に発揮されず、転倒やけがの原因になります。
※記載された浴室環境以外でも使用前にマットがずれ動かないか十分に確認してからご使用ください。
引用元:アロン化成株式会社(おく楽すべり止めマットKP 取扱説明書)
【パナソニック】すべり止めマット[ユクリア]
2017年7月の発売から変わらず人気がある滑り止めマット。
こちらも滑り止め効果が高く、防かび加工されていて手入れの負担を軽減できるのでオススメです。(抗菌・抗ウイルス・防カビ加工製品の品質や安全性を示すSIAA認証を取得)
特徴は以下の通り。
- M・Lの2種類のサイズがある
- 独自の接地面形状(毘沙門亀甲柄)で多方向からの力に対応し、高いすべり止め効果を発揮
- SIAA認証取得の全面防かび加工で、かび菌の内部への増殖をブロック
- 置くタイプなので設置は置くだけ・沈めるだけ(お湯をはった後でも設置可能)
使用できない浴槽
・木製の浴槽、大理石の浴槽、泡の出る浴槽、タイル敷の浴槽、小石敷の浴槽、お湯が循環している浴槽(24時間風呂)
・温泉や地下水、井戸水などミネラル成分が多いお湯を使っている場合
記載された浴室環境以外でも使用前にマットがずれ動かないか、十分に確認してからご使用ください。
引用元:パナソニック(すべり止めマット [ユクリア] 取扱説明書)
【アロン化成】吸着すべり止めマット
吸盤タイプの滑り止めマットで、前項で紹介した すべり止めマット[ユクリア] よりも長きにわたって販売されているロングセラー商品です。
一番大きいMサイズで吸盤の数が696個! 圧倒的な吸盤の数でしっかり吸着します。
しっかり固定できる吸盤で、使用時に安心感が欲しい方にオススメです。
特徴は以下の通り。
- C・S・Mの3種類のサイズがある
- 吸盤の数が多く横ズレしにくい(Cサイズ:432個、Sサイズ:556個、Mサイズ:696個)
- 表面には微細な凹凸(シボ加工)が施されており、肌触りがなめらかなのにしっかりとしたグリップ力を発揮
- 軽量(Cサイズ:約200g、Sサイズ:約400g、Mサイズ:約600g)
- マットを取り外す時は端をめくるだけで簡単に外せる
使用を禁止および制限している浴槽
・底面がざらついた浴槽や木製の浴槽には吸盤が効かないため、使用しないこと
・お湯を循環させている浴槽(24時間風呂)で使用する場合、必要時以外はマットを浴槽の底に敷かないこと
引用元:アロン化成株式会社(吸着すべり止めマット 取扱説明書)
浴槽内(浴槽底)にテープタイプの滑り止めをオススメしない理由
浴槽内に使う滑り止めとしてテープタイプもありますが、私はあまりオススメしていません。
テープタイプをオススメしない理由は2つ。
ひとつ目は、テーブタイプの滑り止めを部分的に貼った場合、貼っていない場所で滑る可能性があるから。
ふたつ目は、部分的に貼るとなると、水はけを考えて貼る必要があるので、滑り止めがほしい場所に貼ることができない可能性があるから。
もちろんテープタイプにも、「一度貼ったら劣化するまで取り外す必要が無く、貼ったまま浴槽を洗える」というメリットはありますが、『滑るリスクを軽減する為』にほしい滑り止めなので、より滑るリスクを減らせるマットタイプをオススメします。
浴槽内での立ち上がりが大変な方は浴槽台を使うのも有効
浴槽内での立ち上がりが大変になってきたら、浴槽台を置いてそれに座って入浴するのも立ち上がりを楽にする方法です。
出典:アロン化成株式会社(軽量浴槽台 “あしぴた”すべり止めシートタイプ ジャストタイプ)
湯船に浸かっている時に、浴槽の底にお尻があるのと、浴槽台の上にお尻があるのでは、立ち上がりやすさが全然違うので、浴槽台を使うのも非常に有効です。
ただ、浴槽台の上に座ると肩までお湯に浸かることできないというデメリットがあるので、「どうしても肩まで浸からないと入った気がしない」という方には不満が残ると思います。
反対に「肩までお湯に浸かれなくても全然大丈夫」という方には、立ち上がりの補助として浴槽台も選択肢のひとつになります。



ちなみに、浴槽台は介護保険が適用されるので、利用者の負担割合分(1割負担の方で大体2000~3000円前後)で購入することが可能です。
浴槽縁
浴室内に手すりが付いていない場合、浴槽縁を跨ぐ時には浴槽縁に手を着いて跨ぐことが多いと思います。
その際に手が滑って転倒してしまうことが心配であれば、浴槽縁にも滑り止め対策をしましょう。
浴槽縁の滑り止めに関してはテープタイプ一択です。
テープタイプは、浴槽縁に滑り止めシートを貼り付けるだけなので、誰でも簡単に取り付けできます。
【ケアメディックス】お風呂ピタットシート 1号
介護用品の総合カタログに10年以上も掲載されている、浴室での転倒予防に役立つテープタイプの滑り止めシートです。
浴槽縁・洗い場・浴槽内など、浴室の様々な場所に貼り付けることができます。
表面の特殊すべり止め加工によって水に濡れても滑らず安全に使用でき、厚さも2mmと薄いのでシートにつま先が引っ掛かることもありません。
浴槽縁に貼るのに最適なサイズがあるので、特に浴槽縁の滑り止めとしてオススメです。
特徴は以下の通り。
- 1号・2号の2種類のサイズがある(浴槽縁に合うのは1号)
- 直接粘着固定できて、使用中にシートがずれる心配がない
- 表面の特殊すべり止め加工により、水に濡れても安全に使える
- 柔軟なEVA(エチレンビニルアセテート)発泡体を使用していて、ソフトな肌触り
- ハサミで自由にカットできる
- 貼ったまま掃除ができる



実際、私の親もこれを浴槽縁に貼っているので使ったことがありますが、濡れても安心感を持てました。
長年この仕事をしていて、「浴槽縁に滑り止めが欲しい」という依頼は、正直これまで数回しかありませんが、浴槽縁は手を着くと滑る可能性は十分あるので、より安全に入浴するには大事なアイテムかもしれませんね。
浴槽縁の跨ぎには浴槽手すりを使うのも有効
浴槽縁の跨ぎが大変になってきたら、浴槽手すりを使うのも跨ぎ動作を楽にするのに有効です。
出典:アロン化成株式会社(高さ調節付浴槽手すり UST-130N)
浴槽手すりを取り付ければ、グリップをしっかりと握りながら跨ぐことが出来るので、安心感を持って動作できます。
ただ、浴槽手すりが取り付けできるかは浴槽の形状によってさまざまで、できない場合もあるので、浴槽手すりが気になる方は福祉用具販売事業所の方に聞いてみてください。
洗い場
洗い場の広さは歩き回れるほど広いわけではありませんが、それでも入浴時、洗い場では「歩く」「立つ」「座る」動作が行われます。
「立つ」「座る」は大体決まった場所で行うことが多いと思いますが、「歩く」に関しては常に一緒の場所を通るという方は少ないのではないでしょうか。
私が、洗い場には洗い場用の滑り止めマットをオススメしている理由が、ここになります。
浴槽内に敷く滑り止めマットは洗い場でも使用できることが多いですが、大きめサイズで40cm×70cmぐらいです。
これを洗い場に1枚だけ敷いても、その他の敷いてない所で転倒してしまっては転倒予防の意味がないですよね。



中途半端に対策をして転倒・怪我をしてしまっては、なんの為にやっているのか…。
また、浴槽内に敷く滑り止めマットを洗い場全面に敷こうとすると2~3枚ほど必要なので、マットを「敷く」「外す」という動作もそれぞれ2~3回しなければならなくなり負担になります。
なので、洗い場に滑り止めマットを敷くのであれば、洗い場全面に敷きやすい洗い場用の滑り止めマットをオススメしています。
洗い場では、洗い場用の滑り止めマットを使って転倒をしっかり防ぐようにしましょう。
【カーボーイ】水切り安全歩行マット
この滑り止めマットは、ものすごくグリップ力が高いという感じはあまりなく、「グリップ力はまずまずかな」という印象です。
でも、メッシュ構造で水はけが良いので、グリップ力を高く感じなくても水が溜まらない分、滑り止め効果が発揮されるのだと思います。
そして、私的に一番魅力を感じたのが価格です。他の洗い場用滑り止めマットに比べて断然安い。
滑り止め効果がそれなりにあって且つ安価で大きいサイズの滑り止めマットを探している方には特にオススメです。
ただ、下の写真のような洗い場ではマット自体が滑りそうな感じがします。


でも、マットを洗い場全面にきっちり敷き詰めれば、マット自体が滑る心配は無いので、その方法で敷くようにしてください。
特徴は以下の通り。
- メッシュ構造で透水性に優れている
- 大きいサイズでもメッシュ構造なので、それほど重くない
- 洗い場用滑り止めマットの中では安価
- カッター、ハサミで簡単にカット加工することができる
【テクノ月星】バイオクッション
衝撃緩和マットとして販売されているので、滑り止めマットというわけではないのですが、凹凸の形状に加え水はけを良くする為に穴も開いているので、滑りにくくなっています。
クッション性がありますが歩きにくさはなく、また発泡体を使用しているので保温性に優れている為、冬場の床からくる寒さを軽減できます。
厚さは0.7cmだけど抜群のクッション性がある素材を使用しているので、転倒によるケガが心配な方には特にオススメです。
カッターナイフで簡単に切ることができるので、洗い場に合わせて自由にカットできます。



耐久性も高いので遊泳施設のプールサイドや更衣室などで採用しているところもあるそうです。
特徴は以下の通り。
- クッション性が高く、転倒した際の衝撃を和らげられる
- 水はけが良く滑りにくい形状
- マットの表面が摩耗して内部が露出してしまっても、スポンジのように水を吸うことはない
- 耐久性、耐摩耗性に優れいている
- カッターで簡単にカットできる
【弘進ゴム】オーバルリンク
介護保険制度が始まる前から販売されている滑り止めマット。(※介護保険制度は2000年にスタート)
この商品は浴槽内用として販売することも多いですが、洗い場でも使えるように大きいサイズもいくつか種類があります。
なので、洗い場にしっかりとした滑り止め効果のあるマットを敷きたい時にオススメです。
大きいサイズは「1m×1m」「1m×2m」といったサイズですが、ハサミやカッターで自由にカットできるので、洗い場に合わせてサイズ調整ができます。
ただ、重さは1m×1mのサイズで5kgあるので、大きいサイズは少し扱いにくさはあります。
また、この商品は『水切り安全歩行マット』と同じように、玉石タイルの洗い場(水切り安全歩行マットの写真を参照)では若干滑りやすい印象を受けるので、その点は注意してください。
特徴は以下の通り。
- 表面に無数にある楕円形のくぼみが滑り防止効果を発揮
- 防カビ加工がされている
- ハサミやカッターで簡単にカットできる
- ゴム製だけど天然ヒバの爽やかな香り
バイオクッションとオーバルリンクは水切り安全歩行マットと同じサイズを買おうとすると、2万5000円以上違ってくるので結構な差ではありますが、その分いい面もあるので、利用者の状態や介護状況などを考えて選ぶようにしましょう。
まとめ
今回は浴室内での滑り止め対策についてご紹介しました。
浴槽内 → 滑り止めマット
浴槽縁 → 滑り止めテープ
洗い場 → 洗い場専用の滑り止めマット
をそれぞれオススメしているので、ぜひ参考にして滑り止め対策を行っていただきたいと思います。











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