介護業界ではよく見る多点杖ですが、多点杖にはどんなもおのがあるかご存じですか?
鈴木さん (介護者)そもそも多点杖ってなに?



普通の杖(1点杖)より使いやすいの?



多点杖ってどの杖のことかわからないし、どこがどう良いのかわからないですよね。
そこで今回は、福祉用具専門相談員として15年以上働いている私が、多点杖について詳しく解説したいと思います。



今回の記事は以下のような方にオススメ!
・多点杖がどういうものか分からない方
・多点杖には色々種類があるが、違いがわからない方
・多点杖は大体どんな杖かわかるけど、どのような状態の方に合うかわからない方
多点杖とは
地面と接する杖先が1点である「1点杖」は普段皆さんがよく見かける杖ですが、それに対して、杖先が3点以上に分かれている杖のことを「多点杖」と言います。
杖先が3点に分かれているものは「3点杖」、4点に分かれているものは「4点杖」と、多点杖の中でも分けて呼ぶことが多いです。
しかし、介護の総合カタログなどを見ると、多点杖のうちほとんどが4点杖で、それ以外の多点杖はあまりありません。
多点杖はレンタルでも購入でも介護保険が適用される
令和6年3月までは、多点杖を使うのに介護保険適用で安く使おうとするとレンタルしかありませんでした。
しかし、令和6年4月からはレンタルに加え、購入でも介護保険が適用されることになっています。
もし、介護保険を利用して使用したい場合は、担当のケアマネージャーやお近くの福祉用具販売店などに相談してみてください。
介護保険を使う場合、「レンタル」と「購入」どちらがいいのか
多点杖は「レンタル」と「購入」どちらでも介護保険が適用になりますが、どちらにしたら良いのかわからないという方もいらっしゃるかと思います。
そのような方は、レンタルと購入、それぞれの「金額においての違い」と「使用にあたっての違い」を見て決めるといいと思います。
まず、「金額においての違い」を具体例で挙げるとこんな感じ。
例)カーボン四点可動式スモールタイプという杖を、負担割合が1割の方がレンタルか購入かを検討する場合


この場合、金額だけでいうと22ヵ月以上使ったら購入した方が安く使えてお得ということに。



もちろん、商品によって金額は違うので、金額の面での損得の分岐点は変わってきます。
また、長く使うと杖先ゴムが擦り減って、ゴム部分だけ交換が必要になることもあります。
レンタルの場合は基本的に交換にお金は掛かりませんが、購入の場合は杖先ゴムを交換するにはお金が掛かるので、その点も考えるようにしましょう。



屋内だけで使うなら杖先ゴムの交換はほとんど無いかもしれませんが、屋外でよく使うなら数ヵ月で交換が必要になるかもしれません。
金額においての違い(メリット・デメリット)をまとめるとこんな感じ。
レンタルの場合
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 短期間の利用だと購入よりも安くなる 杖先ゴムの交換や修理にお金は掛からない | 長期間の利用になると購入の方が安くなる 自治体によっては、処分の際にお金が掛かる |
購入の場合
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 長期間の利用だとレンタルより安く使える 毎月、利用料を支払う必要が無い | 短期間の利用になるとレンタルより高くなってしまう 杖先ゴムの交換や修理にお金が掛かる |
次に、「使用にあたっての違い」を解説します。
レンタルの場合は、正式にレンタルする前に多点杖を試すことができますが、購入の場合は基本的に試すことができないことが多いです。(販売会社によっては「〇〇なら試してもらえますよ」という感じで一部の商品を試せる場合もあります。)
また、使いたい多点杖がレンタルだと取り扱いが無いケースもあるので、その場合は購入という選択になります。
その他では、誰かが使ったものを使いたくないということであれば、購入一択になります。



新品でないと嫌という方は、私がこれまで担当してきた利用者の中にもいらっしゃいました。
あとは、数ヵ月使ってから、「やっぱり違う多点杖を使いたい」となった時には、レンタルであれば特に問題なく変更することができますが、購入の場合は、利用者の身体状態が変わっていなければ、再度介護保険を使っての購入は難しいです。
使用にあたっての違い(メリット・デメリット)をまとめるとこんな感じ。
レンタルの場合
| メリット | デメリット |
|---|---|
| お試しができる 使用期間が短くても、別の多点杖に変更可能 | 利用できる機種が限られる 他者が使っていたものなので、気持ちよく使えないと思われる可能性もある |
購入の場合
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 利用できる機種に制限がない 新品を使うことができ | 基本的にお試しができない 別の多点杖に変更するには、条件(利用者の状態が大きく変わった、修理不可で使えなくなった等)がある |



「レンタル」か「購入」かを考える時は、これらのことを総合的に判断しましょう。
多点杖を介護保険適用で購入する際の注意点
多点杖の購入で介護保険を適用させる為には、都道府県から指定を受けている福祉用具販売店から購入する必要があります。
また、申請書を提出する必要もありますが、これは福祉用具専門相談員やケアマネージャーが作って提出してくれることが多いので頼んでみてください。
介護保険が適用になると、利用者の負担額は販売価格の1割~3割(利用者の収入によって負担割合は違う)で済むので、安く購入することができます。



「ホームセンターで購入してしまって、介護保険を使って購入ができなかった」という方が時々いらっしゃいます。介護保険を必ず適用させたい場合は注意してください。
多点杖の特徴
多点杖は地面に接するポイントが多くなるので、1点杖よりも安定性が高いことが最大の特徴です。
杖先の広がり方(面積)が広ければ広いほど安定感は増しますし、手を離しても杖自身が自立する為、杖を立てかけるところが無くてもいいというメリットもあります。
しかし、多点杖は杖先が複数に分かれている為、凸凹したところでは安定感が失われ、逆に転倒リスクが上がってしまいます。
なので、基本的には「多点杖は平坦な床や地面で使用する」ことが前提になります。
多点杖のメリット・デメリット
多点杖を使うメリット・デメリットは以下のようなことが挙げられます。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 1点杖と比較すると安定感が高い 体重をかけても倒れにくい 杖自体が自立するので、杖の置き場所に困らない | 1点杖と比較すると重い 凸凹しているところや段差の多い場所には向いていない 狭い場所の利用には向いていない |



メリットがすごく良いと思っても、実際に試してみることをオススメします。特に1点杖に慣れてしまっている方は、使いづらいと言われることがあります。
どういう人が適しているのか
1点杖よりも安定感があり、体重をかけても倒れにくいという点があるので、次のような方に適しています。
- 1点杖では歩行が不安定になりやすい方
- 脚力が低下している方
- 片麻痺のある方
- 変形性関節症や関節リウマチなどで体の痛みや体の動きにくさがある方
多点杖の種類
多点杖には杖先の大きさが10cm四方ぐらいのものから、20cm×30cmぐらいのものまで色々あります。
また、杖先のベース部分が少しだけ可動することで杖を斜めにつけるタイプもあり、それは1点杖に近い感覚で使用できるのが特徴です。
多点杖は1点杖と比べると重くなりますが、それでも最近は軽くて丈夫なカーボンを使用したものもありますので、重くて使いづらいという心配は無くなってきているのかなと思います。
それでは、色々な種類の多点杖をご紹介していきます。
杖先の大きさが小さいタイプ
杖先のサイズが大体10cm四方のものになります。
コンパクトなので杖先の大きさを気にせず歩くことができます。
杖先の大きさが大きいタイプ
杖先のサイズが15cm×20cm程度のものから、もっと大きいものだと20cm×30cm程度のものもあります。
杖先が大きいほど安定感が増すメリットがある反面、狭い場所での使用には向いていないデメリットもあります。
立ち上がりの補助としても使えるタイプ
歩行の補助だけでなく、立ち上がりの補助機能も併せ持つ多点杖。
「杖の支柱がS字になっている多点杖」と「立ち上がる時だけ立ち上がり補助グリップを広げて使用する多点杖」があります。
杖先が可動するタイプ
杖の支柱の先につながっている杖先ベース部分が前後または360度に少しだけ動くようになっているタイプになります。
この部分が可動することで多点杖でありながら、杖を斜めに突いても4点(または3点)の杖先が全て接地することになるので、1点杖に近い感覚で使用することができるのが最大のメリットです。
デメリットとしては、杖先が可動することで逆に安定感が無いように感じる方もいる点です。
支柱が前後にのみ可動するタイプ
支柱が360度可動するタイプ
可動角度を変えられるタイプ
可動のオン・オフをいつでも切り替えられるタイプ
杖先が小さい多点杖が欲しいが、杖先は可動した方がいいのか可動しない方がいいのか分からないという時は、ひとつの杖で「可動」「固定」の切り替えができるタイプがおススメです。
軽量タイプ
4点杖だと500~600gほどが平均的な重さですが、軽量タイプだと300g台のものがあります。
使っていると腕が疲れてくる方は軽量タイプがおススメです。
重さ300g台
重さ400g台
多点杖の注意点
右用と左用がある
杖先の面積が広いタイプの多点杖には、右手用と左手用があるので使用する際には注意が必要です。
右手用・左手用といっても、大体の多点杖は1本でどちらにも切り替えができるようになっているので、いつでも変更することができます。
写真のように、支柱から出ている杖先が狭い側と広い側があります。左右を間違えて持つと歩いている時に杖先が足に当たりやすくなり、転倒リスクが高くなってしまうので注意しましょう。






使用場所は平らな場所
多点杖は床(地面)に付く部分が複数ある為、凸凹した場所や段差がある場所で使用すると、バランスを崩しやすくなり転倒のリスクが高くなります。
もちろん屋外でも使用することができますが、使用する場所は平らな場所を選んで転倒リスクをできる限り減らしましょう。
多点杖は上記の2点に注意して使うことで、転倒リスクを下げることができます。逆に、この注意を守らないと、転倒予防の為に使っている杖で転倒リスクを上げてしまうということになります。



多点杖の使い方は非常に大事。間違った使い方をしないように気をつけましょう。
まとめ
多点杖は杖先のベース部分の大小に加え、重さも軽量のものからある程度しっかり重さがあるものまであります。
また、杖先が固定されている方がいいのか可動した方がいいのかなど、人によって合う多点杖は様々です。
多点杖を使えば安全性を感じられるという方は、歩くことへの意欲向上にも繋がるでしょう。 使われる方の体の状態や体力にあった多点杖をお選びください。










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