多点杖とは

ふくし
福祉用具専門相談員
福祉用具専門相談員14年目のふくしです。
役に立つ介護用品や便利な機能が色々あるのに、介護の現場では知らない人が多いと実感。少しでも介護者の負担やストレスを減らせるよう効果的な機能の活用方法や色々な介護用品を紹介していきたいと思っています。
鈴木さん    (介護者)

多点杖ってなに?

高橋さん    (介護者)

普通の杖(1点杖)より使いやすいの?

歩行を補助する杖には、1点字杖・多点杖・ロフストランド杖など、いくつか種類がありますが、今回はその中でも多点杖について解説したいと思います。

目次

地面と接する杖先が1点である「1点杖」に対して、杖先が3点以上に分かれている杖のことです。

杖先が3点に分かれているものは「3点杖」、4点に分かれているものは「4点杖」と多点杖の中でも分けて呼ぶことが多いです。

販売されている多点杖の中でも4点杖の割合が大半を占めています。

多点杖は地面に接するポイントが多くなるので、1点杖よりも安定性が高いことが特徴です。

杖先の広がり方(面積)が広ければ広いほど安定感は増しますし、手を離しても杖自身が自立する為、杖を立てかけるところが無くてもいいという利点もあります。

しかし、多点杖は杖先が複数に分かれている為、凸凹したところでは安定感が失われます。

平坦な床や地面で使用することが前提です。

多点杖のメリット・デメリットは以下のようなことが挙げられます。

メリット
  • 1点杖と比較すると安定感が高い
  • 体重をかけても倒れにくい
  • 杖自体が自立するので杖の置き場所に困らない
デメリット
  • 1点杖と比較すると重い
  • 凸凹しているところや段差の多い場所には向いていない
  • 狭い場所の利用には向いていない

1点杖よりも安定感があり、体重をかけても倒れにくいという点があるので、次のような方に適しています。

  • 1点杖では歩行が不安定になりやすい方
  • 脚力が低下している方
  • 片麻痺のある方
  • 変形性関節症や関節リウマチなどで体の痛みや体の動きにくさがある方

多点杖には杖先の大きさが10cm四方ぐらいのものから、20cm×30cmぐらいのものまで色々あります。

また、杖先のベース部分が少しだけ可動することで杖を斜めにつける(1点杖に近い感覚で使用できる)タイプもあります。

多点杖は1点杖と比べると重くなりますが、最近は軽くて丈夫なカーボンを使用したものもありますので、重くて使いづらいという心配は無くなってきています。

杖先の大きさが小さいタイプ

杖先のサイズが大体10cm四方のものになります。

コンパクトなので杖先の大きさを気にせず歩くことができます。

杖先の大きさが大きいタイプ

杖先のサイズが15cm×20cm程度のものから、もっと大きいものだと20cm×30cm程度のものもあります。

杖先が大きいほど安定感が増すメリットがある反面、狭い場所での使用には向いていないデメリットもあります。

立ち上がりの補助としても使えるタイプ

歩行の補助だけでなく、立ち上がりの補助機能も併せ持つ多点杖。

「杖の支柱がS字になっている多点杖」と「立ち上がる時だけ立ち上がり補助グリップを広げて使用する多点杖」があります。

杖先が可動するタイプ

杖の支柱の先につながっている杖先ベース部分が前後または360度に少しだけ動くようになっているタイプになります。

この部分が可動することで多点杖でありながら、杖を斜めに突いても4点(または3点)の杖先が全て接地することになるので、1点杖に近い感覚で使用することができるのが最大のメリットです。

デメリットとしては、杖先が可動することで逆に安定感が無いように感じる方もいる点です。

支柱が前後にのみ可動するタイプ

支柱が360度可動するタイプ

可動角度を変えられるタイプ

可動のオン・オフをいつでも切り替えられるタイプ

杖先が小さい多点杖が欲しいが、杖先は可動した方がいいのか可動しない方がいいのか分からないという時は、ひとつの杖で「可動」「固定」の切り替えができるタイプがおススメです。

軽量タイプ

4点杖だと500~600gほどが平均的な重さですが、軽量タイプだと300g台のものがあります。

使っていると腕が疲れてくる方は軽量タイプがおススメです。

重さ300g台

重さ400g台

右用と左用がある

杖先の面積が広いタイプの多点杖には、右手用と左手用があるので使用する際には注意が必要です。

右手用・左手用といっても、大体の多点杖は1本でどちらにも切り替えができるようになっているので、いつでも変更することができます。

写真のように、支柱から出ている杖先が狭い側と広い側があります。左右を間違えて持つと歩いている時に杖先が足に当たりやすくなり、転倒リスクが高くなってしまいます。

使用場所は平らな場所

多点杖は床(地面)に付く部分が複数ある為、凸凹した場所や段差がある場所で使用すると、バランスを崩しやすくなり転倒のリスクが高くなります。

屋外でも使用できますが、使用する場所は平らな場所を選びましょう。

上記のようなことに注意しないと、せっかく転倒予防の為に使っていても、かえって転倒してしまう恐れがあるので十分注意してください。

令和6年3月までは、多点杖を使うのに介護保険適用で安く使おうとするとレンタルしかありませんでした。

しかし、令和6年4月からはレンタルに加え、購入でも介護保険が適用されることになりました。

もし、介護保険を利用して使用したい場合は、担当のケアマネージャーやお近くの福祉用具販売店などに相談してみてください。

多点杖は杖先のベース部分の大小に加え、重さも軽量のものからある程度しっかり重さがあるものまであります。

また、杖先が固定されている方がいいのか可動した方がいいのかなど、人によって合う多点杖は様々です。

多点杖を使えば安全性を感じられるという方は、歩くことへの意欲向上にも繋がるでしょう。 使われる方の体の状態や体力にあった多点杖をお選びください。

コメント

コメントする

目次