介護の現場で仕事をしていると、歩行車(歩行器)とシルバーカーは同じものだと思っている利用者・家族は非常に多いです。
高橋さん (介護者)歩行車とシルバーカーは違うと言われても、同じものに見えるけど…。



同じに見えても造りが全然違うんです。
歩行車とシルバーカーとでは、たしかにパッと見ても違いがわかりにくいです。
でも、呼び方が違うということはそれぞれの特徴にも違いがあるということ。
そこで、この記事では「歩行器」「歩行車」「シルバーカー」の違いについて詳しく解説したいと思います。



この記事はこんな方にオススメ!
・「歩行器」「歩行車」「シルバーカー」の違いを知りたい方
・「歩行器」「歩行車」「シルバーカー」を安く使える方法を知りたい方
「歩行器」「歩行車」「シルバーカー」の違い
歩行器・歩行車
まず、名前が似ている「歩行器」と「歩行車」の違いから。
歩行器は、介護保険法で下記のように定められたもののことを言います。
歩行器
歩行が困難な者の歩行機能を補う機能を有し、移動時に体重を支える構造を有するものであって、次のいずれかに該当するものに限る。
一 車輪を有するものにあっては、体の前及び左右を囲む把手等を有するもの
二 四脚を有するものにあっては、上肢で保持して移動させることが可能なもの
引用元:厚生労働省



相変わらず堅苦しい表現なので、わかりやすく言いますね。
上記の引用をわかりやすく言うと、
怪我や病気などで自立歩行(何も使わないで歩くの)が大変な方の歩行をサポートするもので、体重をかけても倒れないもの。またその中でも、
《一》 キャスター付きのものは、手で握るハンドルまたは肘を乗せる為のフレームなどで、体の前および左右の三方で囲む形状になっているもの
《二》 4本脚でキャスターが付いていないものは、持ち上げて前に動かすことができるもの
に限る。
という感じです。ちなみに《一》の「三方で囲む形状」というのは写真のような歩行器になります。




いかがでしょう。わかりましたでしょうか?
《一》のキャスター付きのものを「歩行車」
《二》の4本脚でキャスターが付いていないものを「歩行器」
と呼びますが、歩行車も歩行器の中に含まれるので、下図のようなイメージになります。


ですので、歩行器も歩行車も実は同類ということになり、キャスターが「付いているか」「付いていないか」の違いになるということです。
そして、歩行器・歩行車の一番の特徴は「体を支えて安定性を保つ」ように作られていること。
ハンドルや肘を乗せる部分に体重を掛けてもひっくり返らないような構造になっています。
なので、足を怪我して痛みがあったり、病気で歩行時にふらつく可能性が高かったりする場合は、歩行器・歩行車を使うようにしましょう。
シルバーカー
シルバーカーは一般財団法人製品安全協会(SGマーク)により定義されていて、
「自立歩行ができる主に高齢者が、屋外での長距離移動や物品の運搬および休息に用いる4輪以上の歩行補助車」
という感じで記載されています。
この定義の中で一番重要なポイントは、「自立歩行ができる」という点です。
自立歩行ができるとは、杖や歩行器などの道具を使わず介助も無しで歩ける状態ということなので、シルバーカーを使う対象者は歩行が比較的安定している方ということになります。
それぞれの販売価格の違い
「歩行器」「歩行車」「シルバーカー」のそれぞれの販売価格(定価)は大体こんな感じ。
| 歩行器(キャスター無し) | 2~5万円ぐらい |
| 歩行車(キャスター有り) | 安くて5万円前後、高いと10万円以上になる |
| シルバーカー | 2~5万円ぐらい |
「歩行車」と「シルバーカー」はキャスターが付いていて似た形のように思いますが、歩行車の方が造りが断然しっかりしています。なので、販売価格も結構違ってきます。



歩行車も2~5万円ぐらいで購入できると思われている方は結構いますが、意外と高いんです。
「歩行器」「歩行車」「シルバーカー」を安く使うには
歩行器やシルバーカーを使いたいとなった場合、できるだけ安く使いたいですよね。
その方法は、「歩行器」「歩行車」「シルバーカー」でそれぞれ違うので、気になる方はチェックしてください。
歩行器・歩行車を安く使うには
歩行器・歩行車を安く使う方法、それは「介護保険を使うこと」です。
介護保険を使えるのは「65歳以上の方(第1号被保険者)」と「特定疾病を患っている40歳~64歳の方(第2号被保険者)」で、その中でも介護認定を受けた方になります。
介護認定を受けていれば、歩行器・歩行車は介護保険適用で安くレンタルすることができます。
介護認定は区分が「要支援」「要介護」とありますが、どちらの認定でも介護保険適用になるので、なにかしらの認定が出ていれば大丈夫。
では、どれぐらい安くレンタルできるのかというと、それは人によって違ってきます。
なぜ人によって違うのかと言うと、介護保険の自己負担割合(1割~3割)というものが、「年金収入などの合計所得」と「65歳以上の方の世帯人数」によって違うから。
自己負担割合の計算方法はちょっとややこしいので、「基本は1割、現役並みの所得がある高齢者は自己負担割合が2~3割」こんな感じでザックリ覚えてもらえたらと思います。
ただし、特定疾病を患っている40歳~64歳の方(第2号被保険者)、市区町村民税非課税の方、生活保護受給者は1割負担になります。
それでは、ひとつ例を上げてみましょう。
歩行者のレンタル価格 ➡ 1ヵ月 3,000円
利用者が実際に支払う金額 ➡ 1ヵ月 300円(1割分)
※レンタル価格はレンタル会社や歩行車の機種によってさまざまです。



これなら1日約10円でレンタルできるということになりますね。
上記の例で、自己負担割合が2割なら600円、3割なら900円という計算になります。
自己負担割合分以外の金額は介護保険によって、市区町村からレンタル会社に支払われています。
キャスターの付いていない歩行器に限っては購入でも介護保険が適用される
キャスターが付いている「歩行車」は、レンタルでは介護保険が適用されますが、購入では介護保険が適用されません。
しかし、キャスターが付いていない「歩行器」は、レンタルだけでなく購入でも介護保険が適用されます。
購入の際もレンタルと同様で、負担は自己負担割合の分だけ。
例えばこんな感じ。
歩行器の販売価格 ➡ 25,000円
利用者が最終的に支払う金額 ➡ 2,500円(1割分)
※なぜ、「最終的に」と書いたかは後で説明します。
上記の例で、自己負担割合が2割なら5,000円、3割なら7,500円という計算になります。
さて、例のところでなぜ「最終的に」と言ったかというと、それは介護保険適用で購入する為の申請方法が「償還払い」と「受領委任払い」の2通りあるから。
違いは以下の通りになります。(わかりやすくする為に自己負担割合が1割負担の方で説明します)
| 償還払い | 受領委任払い |
|---|---|
| 最初に10割分支払って、申請後に9割分が利用者の口座に振り込まれる(戻ってくる)申請方法 | 最初から1割分だけしか支払わなくていい申請方法 |
図の方がわかりやすいですね。⤵




最初に10割支払う必要がない受領委任払いで申請できればいいですが、申請できる種類は市区町村によって違い、償還払いでしか申請できない市区町村もあります。
購入を検討される場合は、
- 利用者の状態が変わりやすそうで、すぐに使えなくなってしまわないか
- 歩行器の機種をすぐに変更したいと言わないか
など、利用者の状態や性格を考慮して選ぶことをおすすめします。
歩行器・歩行車を安く使える方法をまとめると、


ということになります。
シルバーカーを安く使うには
シルバーカーは歩行器・歩行車とは違い、レンタルがありませんし、購入でも介護保険は適用されません。
なので、安く使うには、とにかく安く販売しているところを見つけるしかありません。
近くの福祉用具販売店に行けば、どういう機能が付いていてどんな特徴があるのかを聞きながらシルバーカーを選べると思うので良いと思いますが、おそらく価格面では最安にはならないでしょう。
とにかく価格を重視するというのであればネットショップが一番だと思います。
実際、私が働いている福祉用具販売店の販売価格とネットショップの販売価格では、同じ商品でも数千円~一万円ほど違ってきます。
これは、実店舗の福祉用具販売店とネットショップでは、店舗の規模の違いや販売対象地域が一部地域か全国かの違いから、ネットショップの方が仕入れ価格が安かったり、薄利多売で出せるからだと思います。
ただ、ネットショップで購入する際は福祉用具販売店で買う時のようなアドバイスがもらえないので、「どんな機能や特徴があるか」「サイズ感はどのくらいか」をしっかり確認してから購入するようにしましょう。



商品が届いてから、「こんなに大きいの⁉」や 「キャスターが360度回転しないので使いづらい」など、思っていたものと違ったということも十分考えられます。
そこまで安く買えなくても、色々アドバイスをもらいながら選びたい方は、お近くの福祉用具販売店に行ってみてください。
まとめ
今回は、多くの方が知らない「歩行器」「歩行車」「シルバーカー」の違いについて解説しました。
特に、歩行車とシルバーカーについては全く同じものだと思われている方もいます。
でも、実際は使用を想定している対象者が異なるくらい、それぞれ造りや安定性に違いがあるので、この記事を読んで利用者に合ったものを選ぶようにしてもらえたらと思います。


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